おジャ魔女どれみ全話座談会【無印編⑪】

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51話「さようならMAHO堂

「あたしたち、今日限りで…」 「普通の女の子に戻ります」


【ホリ】キャンディーズのパロディ。

【清盛】子供泣いちゃうよこんなの。

【みか】どれみちゃんいかないで〜

【清盛】前回の続き、みんなに正体を知られて絶体絶命のどれみ達。

【ホリ】どれみたちはもう魔女になる儀式を済ませてるから、「魔女!」って言われるだけで魔女ガエルになっちゃうんだね。

【みか】そう。だけどこの状況を切り抜けられるのは、みんなの記憶を消す禁断の魔法だけ。だからどれみたちは動けないんだけど、おんぷだけは選択肢がある。

【清盛】禁断魔法を使わずに、人の心に触れて、人のために行動して、感謝される良さというのをやっと体感したところで、禁断魔法を使わざるを得ない状況に追い込まれるっていうのが……。

【みか】ここで禁断魔法を使うのをちゃんと葛藤するんだよね。「あと一回だけなら」と言っているように、どれみたちの「禁断魔法を使わない」という価値観を受容した描写でもあるし、リスクを被ることへの怯えが初めて見えたのも印象的だと思う。49話おんぷならこの葛藤はなかったと思うんだよね。

【ホリ】「禁断魔法は使いたくない」「でもみんなを助けなきゃ」って二つの感情の間で揺らぐんだよね。自分の危機でもあるのに、みんなのために魔法を使おうとするんだよ。

【みか】利他を通り越して、ヒーローだよもう。

【清盛】この、覚悟を決めて呪文を唱えるおんぷの悲壮な表情とか、魔法を使った後、今までの葛藤がなかったかのように気丈に振る舞う仕草とか、胸につまされるものがある。

【みか】どれみたちのために魔法を使い、お守りが壊れて昏睡状態になったおんぷ。今度はどれみたちが魔法でおんぷを助ける。このやり取りは49話と近い構図。

【清盛】おんぷを助けるためにはどれみたちは魔女をやめなきゃいけないっていう交換条件もね、「自分がリスクを負って相手を助ける」というおんぷの利他性をなぞっている。

【ホリ】これまで50話かけてどれみたちが魔女になるために奮闘してきた描写は、このリスクをどれみたちが負うことになることへの前フリだったんだな。

【清盛】マジョリカのことは15秒しか元に戻せない。ドドたちともお別れしなきゃならない。何より、今まで自分たちを助けてくれた魔法の力を失ってしまう。ここまで「どれみ」を観た俺たちなら、このリスクがいかに重いかをわかってしまう。

【みか】でもね、ここで彼女たちは大元の、自分たちがなんで魔女になりたかったのかというモチベーションを振り返るんだよね。

【ホリ】ここの河川敷の会話、マジでいいな。
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はづき「いつもパパやママの言う通りにしかできない自分を変えられるかなって」
あいこ「お父ちゃんとお母ちゃんを再婚させられんのがベストやけど、最初は苦労してるお父ちゃんに楽させたろー思うて」
どれみ「好きな男の子に告白する勇気が欲しくてね」

どれみ「でもさ、それってさ、魔法を使わなくてもできるんじゃないかなって」



【清盛】はづきの最初のモチベは「ママを気にせず好きな服を着たい」だったし、あいことはづきは自分の願いの解像度がきちんと上がってる。

【みか】魔法に振り回されることなく、堅実に地に足付けて生きてきたからこそだよね。どれみだって恋愛回を通して、魔法を使わず想いを伝えあっている人たちをちゃんと見てきている。すごく説得力があるよ。

【清盛】どれみたちの魔女をやめるって決断をマジョリカが受け入れるシーンも好きだわ。

【みか】「こうなることは判ってた。あいつらは優しすぎる、魔女には向いておらん」「ワシはあいつらのことを娘のように思っていたからの」

【清盛】最初マジョリカは子供ギライな偏屈婆さんだったのが、どれみたちとの1年間を通してちゃんと彼女らに愛着がわいていたんだなということがわかる、いい一幕。

【ホリ】マジョリカもおんぷと同じで、どれみたちから利他性を学んだキャラクターの一人でもあるんだよ。だからこそ、ここでマジョリカが自分が元の姿に戻れないという現実を受け入れてどれみたちを送り出す展開にもすごく説得力がある。


【みか】眠り姫を目覚めさせるための、最後のマジカルステージ。長尺バージョンのマジカルステージBGMと、どれみたちが泣きながら、力を振り絞って呪文を唱える過去最高に緊迫感のある魔法シーン。見ていて本当に胸が熱くなる。

【清盛】おんぷちゃんが目を覚ますと、これまたどれみたちが泣きながら「よかったよ」って喜ぶんだよね。「生きててよかった」って泣いてあげるんだよ。

【ホリ】美しい絵だ。

【みか】おんぷちゃんが目覚めたのはハッピーエンドだけど、この回はおんぷちゃんを助けた代償、マジョリカたちとの別れで締められる。この終わり方がねえ、またね。

【清盛】看板も外されただの洋館となってしまったMAHO堂を背景に、魔法があたかも一時の夢であったかのように演出される。けれど、魔法は失ってしまったかもしれないけど、魔法を通じて得た経験や、仲間たちはこれから先もちゃんと持続する。感傷的なんだけど、展望が見える一抹の明るさもあって、爽やかな終わり方だ。

【みか】「そうだよね、魔法は使えなくなったけど、あたしたち本当の友達になれたもんね」

【ホリ】「どれみちゃん、友達じゃないわ」「そや!あたしたちは」

【清盛】「大親友や~!」

総括

【みか】「無印」のテーマは「友情」。こうやって見返すと、すごい丁寧に作られてることがわかる。

【清盛】MAHO堂という居場所を設定し、あいこやクラスメイトの話を通して互助的な信頼関係を描きつつ、「友情」のアンチテーマたる個人主義の象徴としておんぷというキャラクターを出した。緻密な設計が感じられる。

【ホリ】「無印」本軸の話だとやっぱあいちゃんとおんぷちゃんの話がズバ抜けて良いね。

【みか】反面はづきちゃんはちょっとキャラが弱く感じちゃったな。

【清盛】はづきの親子関係、ちょっと描写しにくいデリケートさがあるからな。

【ホリ】はづきの話は「#」以降が本番ってとこもある。

【みか】どれみとぽっぷの話も、関弘美姉妹を元ネタにしてるだけあって描写力の高さは感じるが、ドラマとして出来が良くなるのは「#」からだね。

【清盛】とはいえ、「どれみ」そのもののテーマは「無印」で完結している。ままならない現実と戦うために魔法の力を借りるんだけど、最終的に魔法を離れて現実に回帰していく。

【ホリ】普通に「無印」単体で完成されてるよね。

【みか】いや~本当にそうなんだよな。だけど、ここから「#」「も~っと」「ドッカ~ン」と、別ベクトルで完成されたものを出してくるのが「どれみ」という作品のすごさでもある。

【清盛】最後に一番好きな回でも言って締めますか。

【みか】一番好きな回……?

【ホリ】むずいな、それ。

【清盛】いや、正直俺も言った後ね、むずいなこれって思った。

【みか】YouTubeにある「魔女さが」記念座談会の中でも同じ質問を声優陣が受けてたんだけど、宮原永海がね、「『どれみ』という作品はキャラクターみんなが主役で、全員に同じだけ愛着があるから選べない。それが『どれみ』の良い所だと思う」って言っていて、すごく良いこと言うなって。

【ホリ】なるほどね。まあ、そうかもね。

【清盛】無理に一つに決めるのも野暮ってモンでしょう。では、そういうことで。

【みか】お疲れさまでした。じゃあ、「#」に行くか。

【ホリ】「どれみ」は神アニメ。

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49話『パパに会える!夢を乗せた寝台特急

【清盛】神回の話するか。

【ホリ】無印で一番好きな回やわ。

【清盛】序盤の細かい描写の話をすると、おんぷがマッキーとの共演に喜ぶあたりのまだプロ意識甘いところ、ちょっと好きなんだよ。

【ホリ】「#」以降は本当に超人的になってしまうからな。

【清盛】こういうミーハー仕草は無印でしか見れないからレアだよね。

【みか】おんぷの話って本当に難解でさ、この回も正直初見ではよくわからなかった。なんでお前急に改心してんの?って。

【清盛】あいこやはづきと比べた時の、おんぷにとっての父親の位置づけみたいなところも読み取りにくくはあった。

【みか】でも改めておんぷ登場回から丁寧になぞっていくと本当におんぷの成長は丁寧に描かれていて、この回で一つ結実したというのが理解できる。

【ホリ】自分と関係ない他者、ましてや同じ役を奪い合うライバルのあがり症を治すために禁断魔法を使う。本当に真っ当な成長を遂げているよね。「あがり症は治してあげるけど、それはそれとして勝つのは私」ってスタンスなのも格好いい。

【みか】禁断魔法を使うけど、どれみたちはおんぷの行動を非難しない。これが、おんぷが初めて正しい利他性を発揮したことの証左だと思う。

【ホリ】どれみたちは「ルールだから」という理由で禁断魔法を渋るけど、おんぷはケースバイケースでルールを破れるしたたかさがあるから、使うべき場面ではきちんと使うことができる。少なくともかれんちゃんを救えたのはおんぷだけだったと思うし、おんぷの倫理観の方が正しく思えてしまうな。

【みか】ただ、勘定せず気の赴くままに自分のしたいことを真っ直ぐ押し通せる彼女の性質と利他性は、時に危険な組み合わせになるってことも指摘されてると思う。基本的に彼女は自己責任論者だから、自分の身に降りかかるリスクは簡単に引き受けてしまうんだよね。

【清盛】それは51話でも回収される話だな。

【みか】今回もかれんちゃんに使った禁断魔法のせいでお守りにヒビが入ってしまう。おんぷはそれを気にも留めないわけだよね。こういう自分を顧みず他者を助けてしまうダークヒーロー的な気質は危ういと思う反面、魅力でもある。

【清盛】どうなんだろう。おんぷのキャラ的にも、48話からの流れ的にも、おんぷに自己犠牲の精神があったというよりかは単に幼稚さゆえのリスク管理の甘さという話な気がする。

【みか】うーん、自己犠牲とまではいかないまでも、他者と繋がった生き方が染みついたどれみたちに対し、個の生き方が染みついたおんぷの方が自分の破滅に対する責任感は軽いと思うんだよね。だからこそハイリスクハイリターンのギリギリの選択を取れる。そこが変わるのが51話なんだと思う。

【ホリ】あとこの回はねぇ、山内演出が素晴らしい。

【清盛】マジカルステージ後の演出、オシャレ過ぎるだろ。

【みか】パパの寝台特急の発車時刻に間に合わず、俯きながら帰ろうと足を踏み出した瞬間、場面だけが車内に移り変わる。

【清盛】その後車掌室に入っていく中で、今まで陰に隠れていた父親の優しい顔が徐々に浮かび上がっていくあの演出も綺麗だよね。

【ホリ】おんぷがかれんちゃんを助けたように、どれみたちも魔法でおんぷをパパに会わせてあげた。この施し合いがまず素晴らしいのと、おんぷもどれみたちが自分を助けてくれたことにちゃんと気付いて、お礼を言っているんだよね。これに気付けたっていうのも積み重ねがあってこそなんだよ。

【みか】これもまた真っ直ぐな友情の話だよね。美しい。


【清盛】最後は恒例、セピア色の山内画。

【ホリ】やっぱこれがあると締まるな。

【清盛】おんぷの深層意識にある、本当に安心して帰ってこれる場所、という心象風景なんだよね。母親は自分の戦場である芸能界と結びついてるから、これがおんぷにとっての父親の役割なんだなと。

50話『最後の見習い魔女試験』

「あたしたち、ついに魔女になっちゃった!」

【みか】絶望的に似合わないな。

【清盛】この回はそれこそ集大成。

【ホリ】試験に臨むまでのどれみたちの描写も、これまでどれみたちを見てきた側からすると感慨深い。

【みか】1級試験の内容は魔法を使って「ありがとう」と言ってもらうこと。だけど魔法を使ったとバレてはいけない。

【ホリ】これまで利他性の尊さを説いてきた「どれみ」の、最後の試練に相応しい試験内容だよ。

【みか】最初どれみたちは「ありがとう」を貰おうと、まあちょっぴり打算の気持ちが入りながら人助けを行うんだけど、うまく「ありがとう」を言ってもらえない。だけど、最後一つだけ残った魔法玉を、自分たちの合格と引き換えに溺れている子狐を助けるのに使ってしまう。

【清盛】「不合格だ」と落ち込むどれみ達。けれど最後に子狐がどれみたちに向けた鳴き声は「ありがとう」の意を含んでいたから、晴れて無事1級合格になる。

【みか】純粋な利他性が結果的に善い結果を招く、これだけでも美しい寓話だよ。

【ホリ】しかもね、これをおんぷもどれみたちと一緒になって実践するんだよ。今度は禁断魔法じゃなく、ちゃんと相手のことを観察して、慮って、子狐が欲しがっているミルクを出してあげる。

【みか】この時のおんぷちゃんの表情、マジで好き。

【清盛】これまでおんぷもちょっとずつ利他的な魔法を使おうとしてきたけど、禁断魔法を使わず、かつ自分の行った行動に対してわかりやすく反応が返されるのは初めてだから、嬉しいけど、どこかくすぐったいような感情が如実に表れていて、いやあ、凄いな。

【みか】ここの原画描いた人、神やと思う。

【ホリ】どれみたちが魔女になった後の会話で、「おんぷちゃん、最後まで心を操る魔法使わなかったね。どんな気持ち?」ってどれみの問いに対しておんぷが本当にいい笑顔で「いい気持ち!」って答えるところも、しみじみと感慨深い。

【清盛】いい話なんですけどね。でも本当の試練はここからだった。島倉のせいで……。

【みか】どれみたちが不用心すぎるのはあるよ。

【ホリ】今までと違って日中ずっとホウキ移動だったから仕方ない面もある。

【清盛】噂が噂を呼んで、伝言ゲーム的に大惨事になるのはコミカルで面白い。

【ホリ】正直信ちゃんのせいじゃないこれ?

【みか】この回演出も妙に動いて楽しいんだよな。薙刀を振り回すばあやとか。

【清盛】普段は草生えるけど、こういうコミカルに動く話は山吉演出がピタリとはまってる感あるね。

【みか】MAHO堂に集まる人間サイドの面々、そんなことをつゆも知らず帰ってくるどれみ達。

【清盛】ここでおんぷがマジョルカにちょっと意地悪言うところ、初期おんぷの片鱗が見られて嬉しいカット。

【みか】軽口を叩きながら帰ってきた先に待ち受けるのは、クラスメイトとそれぞれの両親。

【ホリ】いやあ、テーマ上みんなにバレちゃうってのはありがちな話ではあるけど、ここで持ってくるか!

【清盛】親は本当に子を心配してるだけっていうのが、もうね……。

【みか】こんなん完全にゲームオーバーでしょ。さすがにどうすんねん。あッ、記憶を消せば……。

【ホリ】いやもう、フリが完璧すぎる。

【清盛】散々おんぷの成長を描いてきておいて、このフリはヤバいって。

【みか】ほな、最終話行くか……。



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おジャ魔女どれみ全話座談会【無印編⑨】

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第45話「サンタさんを救え!」

【ホリ】ちゃんと夢を壊さないように、サンタさんが隠れた形で実在しているという前提で作られてる。

【清盛】子供向けアニメでサンタさんが親であるという話はできないよね。「も〜っと」のアルバムには「ママがサンタにキスをした」が入ってたりはしたけど。

【みか】まあでも最初、どれみたちはサンタなんていないって価値観だよね。サンタを信じてるぽっぷたちはガキって笑う。

【清盛】ぽっぷにサンタを会わせてはならないって、もうどれみたちは大人扱いされてるってことなんだけど、小3にして背負わされてるなあ。

【ホリ】どれみは実際にサンタに手助けする、ぽっぷは夢の中でサンタに会うっていう構図になってるけど、それによってそもそもサンタが親であるという部分を巧妙に隠蔽している。二つの対比の外側に現実があるっていうの、上手いわ。

【清盛】あとこの回はおんぷちゃん的に重要な回でもある。

【ホリ】ここまで罪を犯してきたおんぷだけど、良いところもあるんだっていう。

【みか】おんぷちゃんの話がゆっくり進んでいく。すごく細かいところでそれが表現されるから、初見時はわかりにくかったわ。完全におんぷにしっぺ返しを受けさせて改心させるという形にはしていなくて、一歩一歩ゆっくり知っていく感じで話作ってるよな。


【清盛】このシーン、どれみの家庭とのあまりにも寂しい対比がなされてる。

【みか】おんぷちゃんの家庭も冷え切ってるわけではないというのが後々わかるんだけど、彼女の心の拠り所は両親しかいないから、それが抜け落ちると不安定になっちゃうよな。

【清盛】そこに入りこんできたのがどれみたちであると。

【ホリ】確かにな。そう考えるとかなり必然性があるね。小3の子供がクリスマスを家で過ごせないってのはかなりショックで、どれみがそこの救いになったっていう。
どれみと一緒にサンタを手伝う

【みか】どれみたちと会いに来たのは寂しさが理由だったけど、子どもたちにプレゼントを配って誰かのために働いてるどれみを見て、少しずつ利他性というものを分かろうとするんだよな。

【清盛】ぽっぷの願いのために自分のプレゼントを我慢するどれみたちに習うことによって、自分より他人の望みを優先するという一段上の利他性を実践する。ここで一つ乗り越えた成長が見えるよね。

【みか】大事な回なんだけど、この辺のおんぷちゃんの心情。初見じゃわかんなかったよ。

【ホリ】おんぷちゃんも意志を持って悪をなしていたわけではないからな。ヤバい魔法を使ってたのも、マジョルカと出会ってしまったからってところもある。あんまり実は偏ってなかったというか、まっさらな状態だったってことなんだよな。

【清盛】まあこのおんぷちゃんの不安定さは子供の可変性を示しているんだろうな。

第46話「魔女のかくし芸大会!」

【みか】クラスメイト回かつ試験回。はづきが二人羽織練習してたり、どれみが親指のマジック使ったり、そういうコミカルな動きを楽しむ回だよね。
二人羽織

【ホリ】人間の手品が魔女の魔法に勝つってのは滑稽だわ。

【清盛】魔女界、どんだけ娯楽ないんだよ。

【みか】女王様も手品の練習をめちゃくちゃ覗きこんでくるからな。

【清盛】この回はサンバも初出。

【ホリ】動きがマジで気持ち悪い。

【清盛】専用曲あるの凄いわ。

【ホリ】あと、この回はMAHO堂メンバーが当たり前のようにクラスメイトを助けてるのが改めて凄いと思う。どれみたちとおんぷちゃんの対比で進行してるからな。

【清盛】なるほどね。45話でその軸が一歩進んだところで改めていつもの三人を描くのは意味があるな。

47話『お父ちゃんのお見合い』

【清盛】新年一発目の話。アバンでどれみたちが振袖を着て挨拶をしてくれる。

【みか】新年一発目にあいちゃん回は重いっすよ。


【ホリ】モンゴルを探せ!

【清盛】物語冒頭も初詣に行くMAHO堂三人の話で、はづきは振袖、あいちゃんとどれみは冬服……。

【ホリ】階級を感じるな。

【みか】ぽっぷも振袖着てるんだよね。お下がりなのかな。

【ホリ】ちょっと七五三みある。

【みか】両親と合流したどれみとはづきに気後れするように、食事の誘いを断ってしまうあいこの描写が本当にいじらしい。初詣って家族行事的な側面が結構あると思っていて、だからこそこういう機会に完全な家族の形を目の当たりにしてしまうと、「母親」というピースの欠落をより痛く感じてしまうんじゃないかと。

【清盛】ヘヘに諭されてあいちゃんは幸治の再婚話を一旦承諾するけど、彼女個人の取っ掛かりとしてそういう思いもあったのかもね。

【ホリ】そもそもあいちゃんはお母ちゃんが再婚しているって思い込んでたしな。マジョリカの水晶玉でそれが勘違いだって気付くわけだけど。

【みか】あれだけ魔法をケチってたマジョリカがあいちゃんのために水晶玉を使う描写もいいよね。

【清盛】母親が再婚してないってわかって、どれみたちで幸治のお見合いをぶち壊そうとする。利他性かつ友情の話でもあるんだけど、結構無茶苦茶な魔法の使い方をするんだよね。

【みか】「どれみ」の魔法って大人的な手段を使わなきゃ解決できない問題に直面したときに子供に力を与えてあげるものって描かれ方をしていると思うんだけど、この回は珍しく子どもらしさが出ていて、わがままに近いものがある。

【清盛】幸治に寒いギャグ言わせたりパフェひっくり返したり……。

【ホリ】はづき母回も似たような魔法の使い方だよね。

【みか】こういう子供から大人への反逆の手段として魔法が使われるのは、ワクワクするわね。

【ホリ】あとこの回のおんぷちゃん、いいんだよな。

おんぷ「魔法の使い方間違ってるよ。相手の人に魔法をかけてお父さんを嫌いにさせればいいのよ」「じゃあ、あたしがやってあげようか?」


【みか】サンタ回を通じて利他性をちょっぴり学んだおんぷだけど、やっぱりおんぷの利他性はまだ幼稚なんだよ。

【清盛】利他が自分の価値判断に完全に依拠してるのが視野の狭さを感じるよね。

【ホリ】ただこの後の「あいちゃん、イイ子過ぎるよ。自分の気持ちをもっと素直に出した方がいいよ」ってアドバイスは功を奏してる。ここが素晴らしい。

【清盛】確かに。おんぷの主体的な行動が初めて正しく人に利益を与えた瞬間なのか。

【ホリ】おんぷにしかできなかったアドバイスだしね。ジコチューと批判されがちではあるけど、おんぷなりに構築した哲学は、それはそれで価値のあるものなんだなっていう。

【清盛】おんぷのアドバイスを受けたあいちゃんは真っすぐ二人に自分の想いを伝えるわけだけど、見合い相手のみどりさんの身の引き方も格好良かった。

【みか】あとどれみたちがおんぷに「心を変える魔法は使ってはいけない」って諭す理由が、「禁止されてるし、使うとペナルティがあるから」ってスタンスなのは子供らしいリアルさだと思った。「心を変える魔法」のグロさは子供の視点からは理解できないよね。

48話『おんぷのメールはラブレター?』

【ホリ】この回大好きなんだよな。

【みか】おんぷ回として、中田くん回として、二つの軸で凄い回。

【清盛】パソコンが得意でおんぷちゃんが大好き。大きなお友達の話ですね。パソコン通信っていうのも時代を感じられてよい。

【みか】おんぷちゃんのことが好きなんだけど、自分からアプローチはかけられず常に相手から話しかけられることを待っている、痛がりな陰キャ特有の受け身姿勢が刺さってしまう。

【清盛】廊下の向かいから歩いてきたおんぷちゃんから不自然に目を逸らしちゃう仕草とかね。

【ホリ】やっぱ自分みたいなパソコンオタクがおんぷちゃんなんかに声かけてもな、みたいな感覚もあるでしょ。わかるよ。

【みか】こういうメンタルがキモオタの表象としてキャラ付けされてるのも若干の時代を感じる。

【清盛】おんぷの話をするけど、この頃のおんぷはまだプロ意識に欠けるというか、ファンへの扱いが雑。ファンレターの返信を面倒だからとヘヘに任せて、ヘヘも適当にラブレターみたいな返信をするもんだから大惨事に発展してしまう。

「放せよ、俺はおんぷの恋人だぞ!」

【清盛】オタク怖すぎる。

【みか】プロ意識に欠けるというのもそうだし、愛され方を知らないという話でもある。おんぷのメールにつられて集まったオタクたちの暴動を整理するためにどれみたちが警察に扮したりして奮闘するんだけど、それに対しておんぷは「自分のことでもないのに、どうしてそう一所懸命になれるわけ?私がどうなろうとあなたたちには関係ないじゃない」という、割と根幹に近い問いを投げつける。

【ホリ】おんぷの自己中心的な性質を表現しながら、どれみの聖人じみた利他性を際立たせる重要な問いだな。

【清盛】それに対しあいこが「あたしらやファンのみんながここにいるのは、みんなおんぷちゃんのことが好きやから」って諭すんだよね。

【ホリ】これをあいこが言うのがいいね。前回の話から接続している。

【みか】おんぷの他人との関わりってアイドルとしてちやほやしてくれる程度のものでしかなかったんだけど、この会話でチャイドル瀬川おんぷとしてでなく、瀬川おんぷ単体の人格が愛されていることに気付いたと思うんだよ。自分を愛してくれるのは自分と両親しかいないと思っていたのが、急に世界が広がる。他者の価値が重くなり、それがおんぷに誠実さを身に付けさせる結果に繋がった。

【清盛】世界観の広がりが視野の拡充に繋がるという、すごく真っ直ぐな成長を遂げている。

【みか】集まったファンに対しおんぷは誠実に自分の非礼を詫びて臨時サイン会を開くんだけど、ここでまた中田くんの話に戻ってきて、中田くんはおんぷの裏切りが許せなくてサイン会に参加できない。

【清盛】中田くんの話もちょっとおんぷに似通った部分があって、他人も自分と同じように色んな思いを抱えた人間だっていう理解がないから、喋らずして他人を勝手に決めつけて、勝手に落胆するっていう。

【みか】確かに。コイツが人の心を操る魔法手に入れたら秒で使いそう。

【清盛】この回一応バッドカード回で、中田くんの災難は彼が持ってたおんぷのCDに入ってたバッドカードのせいだって結論付けられるんだけど、どれみだけは「本当にそれだけなのかな?」って言うんだよ。

【ホリ】バッドカード回も洗練されてきてるよね。バッドカードの役割を逆手にとって、魔法の関与しない本人の問題が見落とされるということを指摘している。

【清盛】そしてどれみたちが自分の言葉で中田くんに諭すんだよね。ここが本当に素晴らしい。「中田くんはまだ何もしてないじゃん。大丈夫、話しかければすぐ友達だよ」

【みか】小3の言葉とは思えないな。やっぱどれみはすげえよ。

【ホリ】中田くんのこの学びと、おんぷが人の心を操らなくても話せばわかるんだってことを学んでいくのは結構パラレルかもね。

【清盛】最後中田くんが勇気を出して挨拶をして、おんぷがちゃんとそれに応えてくれるのは希望が感じられてよかった。

【みか】まー希望はないんだけどね。

【ホリ】能登麻美子が笑顔で握手してくれるのと同じでしょ。

【清盛】うるせえ。希望はあるんだよ。俺はおんぷの恋人だぞ。



続き
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おジャ魔女どれみ全話座談会【無印編⑧】

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第39話「どれみの彼は中学生!」

【ホリ】おんぷちゃんが良い回。

【清盛】おんぷちゃん、登場回以来は出てきてもフレーバー的に使われるだけで重要な機能を果たすことはなかったけど、この回はもう明確にヤバいことやってる。

【みか】この回、山内重保の初演出回だね。もう冒頭からすごい。

【清盛】何このポーズ。

【みか】やっぱ明確に顔がでかいわ。

【清盛】まあでも見てて楽しくなるわ、山内回。おんぷちゃんの話に戻るけど、今回はホントにやっちゃアカン魔法を使う。

好きです、付き合ってください

【みか】おんぷちゃんの罪はマジで重いよ。

【清盛】やっとどれみの恋が成就したと思ったら、全部大嘘だったっていう。哀れ過ぎるだろ。

【みか】さっきは魔法が絡んだ人間ドラマつまんないって言ったけど、この回は良いわ。

【清盛】まあ人の心を変えちゃったら必然的に人間ドラマになるからな。

【ホリ】後にも先にも人の心を操る魔法使うのおんぷだけか。「ドッカーン」であいこの未遂があるとはいえ。

【みか】人の心を変えることに対して想像力がないってことやもんな。小3だからってのもあるけど、自分のことさえ良ければそれでいいっていうおんぷ本人の価値観の問題もある。そういう人間の軽はずみな魔法でグロテスクなことになってるの、子供にとっては本当に良い教訓になると思うわ。

まき「お兄ちゃんが…どれみちゃんに…」

【ホリ】山内回、セリフも特殊だよね。結構脚本に手加えたりしてるんだろうな。

【みか】まきちゃん可愛い。

【清盛】見た目も可愛いし、お兄ちゃんを信じてあげる性格もいじらしいよね。友達と兄が付き合うのも気まずいだろうに受け入れてあげてるし。

【みか】おんぷの魔法一つで四人くらい不幸になってるんだよな。

【清盛】あとこれは五十嵐先輩回とも共通するんだけど、どれみが失恋した後にちゃんと恋敵を称賛するマインド好きなんだよな。この回でいうと「インラインスケートに付き合うのはわたしには無理だな」っていう。

【みか】どれみの失恋回全体に言えるんだけど、やっぱ基本軽いよね。でもそれはどれみが特定の誰かに依存しすぎていないとも言える。そこがどれみ性だよね。

第40話「どれみ楽勝?3級試験」

【みか】三人がそれぞれ違った試練を受けるんだけど、どれみは人の良さ、はづきは天然、あいこは知恵で乗り切る。

【ホリ】それぞれ試練と解決法に個性が出てるのは面白いな。これまでは三人で一つの試練って感じだったから。

【清盛】で、どれみはステーキと試験の二者択一でステーキを選んでしまうと。

【ホリ】またどれみの劣等性が出てるエピソードやな。

【みか】あとこの回では女王様の任期が100年であるってのが分かったりする。

【清盛】へ〜。

第41話「父と子·勝利への一手!」

【ホリ】クラスメイト回やね。

【みか】この回、本筋のクラスメイトの話も良いんだけど、二期のどれみのピアノエピソードへのフリがあったりする。

どれみ「世界一美人なピアニストになるのが夢だったけど才能が無かったみたい」

【みか】谷山くんが父親に反対されて将棋を諦めようとしているのを、自分が過去にピアノやってたけど才能なかったことを引き合いに出して発破をかけてあげるんだよな。

【清盛】あ、ここで一応言及があったんだな。二期作ることを見据えてたのかな。

【みか】「#」ではピアノが結構どれみの心の傷になってたことが分かるんだけど、ここではまだ自覚していない。でも谷山くんのことはすごく応援したくなってしまう。

【ホリ】無意識に規定されてるんだな。

【みか】どれみって基本ポジティブでみんなに優しいんだけど、こういうどれみの影のある部分が垣間見える瞬間は超好きだわ。

【清盛】いや〜でもここやりとりをどれみの影の部分として捉えるの、一周目では不可能だな。

【みか】あとこの回はバッドカード回でもあるね。

【清盛】まあバッドカードの使われ方としてはオーソドックスなんだけど、それとは関係ない谷山父子のドラマが良かったからね。

【みか】谷山くん、本編ではこの後ほぼ出てこないけど、「16シリーズ」ではちゃんとプロになってたし、ええ話や。

第42話「おジャ魔女 正義の戦い!?」

【清盛】38話の時にも話したけど、怪獣に比べると戦隊モノ好きな感情ってちょっとよこしまなところがあると思うんだよね。

【みか】まあ言ってることはわかるんだけど、俺はどっちかというと天野くんみたいな子だったから、こっちの回の方が好きだわ。

【清盛】あとこの話、女が絡んだ揉め事じゃん。あんま子供らしくなくて嫌らしいんだよな。

【みか】いやいや、でもおんぷちゃんの女としての面を巡る戦いじゃないから。

【清盛】まあ、天野くんにとってはそうかもしれないけど、ファンクラブの面々とかは完全に女として見てるだろ。

【みか】そいつらはそうやな。

【清盛】あと天野くんって、男児的な趣味を持ってる点では38話のりょうたと同じなんだけど、あんま葛藤がないんだよな。周囲との軋轢は描かれるんだけど。

【みか】ただ、どれみがヒーロー好きなのを妙に恥ずかしがってる描写とかあったじゃん。俺もプリキュア見てるの恥ずかしかったから分かるんだけど、異性向けのコンテンツ見るのは葛藤があるよ。

【ホリ】俺も「おジャ魔女どれみ」見てるの恥ずかしかったよ。
【みか】生き証人だ。

【清盛】まあでも恥ずかしがりつつ、いざ変身したらノリノリで演じてるどれみが可愛いんよね。

どれみ「ピンクとお呼び!」

【みか】で、魔女レンジャーが藤子不二雄みたいにコミカルに殴りあってるのを見て、天野くんが真の正義とは何かみたいなものに気づき始めるんよな。

【清盛】何なんすかね。やっぱ女がやるレンジャーは本物じゃないって話なんすか?

【みか】いや、単純にこいつらがやってるのってごっこ遊びだから。

【清盛】まあ、自分がさっきまでやってたことを客観的に見て冷静になったって感じなんすかね。

【みか】「あれ? この戦いの裏には何があるんだっけ」って考えてみると、話し合えばすぐに解決じゃんって気づく。正義とは暴力ではないって学んだんですよ。

【ホリ】いい話だなあ。

第43話「パパと花火と涙の思い出」

【みか】散々出てきた玉木の主役回がやっと来た。

【清盛】しおりちゃんの回でもあるよね。めちゃくちゃ干渉してくるしおりパパと、全く叱ってくれない玉木パパの対比がある。

おんぷ「本当はパパに愛されてないんじゃないの?」

【みか】お前が言っちゃだめだろ! ファザコンの癖によ。

【清盛】まあおんぷは父親から芸能活動に対してめっちゃ口出されてたらしいじゃん。自分はそういう愛を受けていると実感していた。

【みか】それを分かってる奴が言ってはダメな言葉なんだよなあ。

【ホリ】まあ、「自分は愛を受けてるよ」っていうマウンティングなんですよこれ。

【清盛】いやあ、でもこれパパ自慢って捉えることもできるわけで。すっげえ可愛いよ。


【みか】この玉木のツボを割るって甘え方、本当に短絡的で好きだわ。ただ、この玉木の過去のエピソードとかも、あいこに比べると軽いから初見では笑っちゃったんだけど。

【ホリ】まああいこと比べるとそうね。

【みか】改めて見ると、叱ることと愛することの線引きみたいなテーマを書く上で、ちゃんと誠実にやってんだなっていうね。

【ホリ】玉木としおりちゃんって組み合わせもいいよね。対照的な二人が逃避行するって筋書きはジュブナイルっぽい。


【清盛】めちゃくちゃ良い演出だわ。

【ホリ】正直、一周目では玉木に対して感情移入がちょっと足りてなかった。玉木に対する思い入れが深まってくると良い回だわ。

【みか】まあ、玉木がクラスメイトとの間にコミュニケーション齟齬を起こしていた描写が散々あって、やっと主役回が来たとおもったらそこじゃなくて家族の話だったからな。初見だと乗りにくさはあったかもしれない。「お前の問題そこじゃないだろ」って。

第44話「女子プロレスラーになりたい!」

【ホリ】むつみちゃん回、4期に続きがあるのがびっくりだよね。「モンゴル」とかいとこちゃんと同じ立ち位置だと思ってたわ。

【清盛】まあ、その二人は成長に伴う変化ってちょっと描きにくいけど、女の子でプロレスが好きって性格は明らかに描きやすいってのはあるよね。

【みか】この回、「ドッカ〜ン」13話の前座だろ。べつに単体で見ても悪い回ではないんだけど、バッドカード回だしな。

【清盛】むつみちゃんがキャンディ伊藤を応援するがゆえに邪魔になってしまうっていう構造がバッドカードによって生み出されているんだけど、それが何かの教訓や葛藤を作り出しているわけでもないからな。ただただ残酷なだけ。

【ホリ】こうやって無邪気に応援してるむつみちゃんを描いてるからこそ「ドッカ〜ン」13話が活きるわけでさ。やっぱりこの回はフリですよ。

【みか】あと、純粋にむつみというキャラクターは可愛いよな。

【清盛】エロい。

【ホリ】こんな感じで気軽に身体が触れ合ってるってのは小3ならではだよな。





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おジャ魔女どれみ全話座談会【無印編⑦】

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第34話「お母ちゃんに逢いたい!」

【清盛】あいこ回3つ目かな。前回母親の存在が明かされたけど、今回ついに本人が登場する。

【みか】あいこの母親が父子の関西人的なやりとりを垣間見て、お母ちゃんがいなくてもちゃんとあいこが幸せに生きてるんだって分かると。この構図の入り方からして凄い。

【ホリ】あいこの父親も歪んでるよなあ。母親からあいこへの手紙を全部捨ててた。酷い話だよ。

【みか】「あいこが見たら苦しむかと思って」って言ってたやん。

【ホリ】いやあ、それ言い訳としても苦しいだろ。

【清盛】まあでも分かるけどな。父親からしたら「なんで母親の役割をちゃんとやろうとしないんだ」って見えてたわけだから。そんな女になびいて欲しくないわな。

【みか】母親も自分の両親との事情があったわけだからね。

【清盛】誰も歪んでないよ。

【みか】けどやっぱ、あいこは可哀想だよ。

「お母ちゃんのこと、許してくれへんのやね」

【清盛】これとかやり過ぎだろ。許してくれてないんだなって思ったとしても、それを伝えるのはあいこがどう思うかを考えられていない。

【みか】せめて「ごめんね」くらいじゃないのかなって思うよなこれ。八つ当たりに近い。

あつこ「あんたがお父ちゃんの世話したって」

【清盛】ここ本当にヤバい。まだ小3のあいこが甲斐甲斐しくお父ちゃんの世話してたの、こういう母親からの呪いがあったからなんやなって。

【ホリ】捨ててるのと同じだろこんなん。

【みか】あいこが自分が怪我したから両親が離婚したんだって思い込まされてるのもグロい。そこに対するフォローはしてやれなかったのかよ。

【清盛】まあ二人ともあいことコミュニケーション取れてなかった感じはあるよね。幼児だからしゃーないとこはあるんだけど。

【みか】あいこが母親と会おうとするところで父親の顔がフラッシュバックする。お母ちゃんと話しちゃったら、今の生活は壊れちゃうんじゃないか、お父ちゃんへの裏切りなんじゃないかって。こんなん本来子供がしていい葛藤じゃないんだよ。ホンマにもうやめてくれ。

【清盛】あいこと境遇が近い子供の視聴者って、かなり深くあいこに感情移入してると思うんだけど、さらにその子たちに見せるのがお母ちゃんが別の赤ちゃんを抱えてるところなんだよな。鬼畜過ぎる。

【ホリ】ここまで散々痛めつけておいて、まだやるのかよ。

【みか】こうやってフラストレーションが溜まったところでね。

【清盛】泉南の砂浜で関空連絡橋を背景に、どれみとはづきが涙を流す。

【みか】あいこはこの時相当辛かったはずなんだけど、自分のことで自分以上に泣いてくれる友達がいて、涙も引っ込んじゃう。凄い美しい友達のあり方だなって思う。テーマの「友情」がこのシーンに詰まってるよ。

【清盛】このエピソードはあいこの回でもあり、次のおんぷちゃん登場会に向けた三人の友情の集大成の回でもある。

【みか】このシーンを作るためにあいこを痛めつける必要があったんだろうな。

【ホリ】ショックを受けた子供の視聴者のためにも、ちゃんと赤ちゃんはお母ちゃんの子供じゃなかったんだっていう救いはある。あいこ視点ではそれはわかんないし、結局会えないわけだからバッドエンド的ではあるけど。

【みか】まあ、この話以降もちゃんと積み重ねていきますから。

第35話「転校生は魔女見習い!?」

【ホリ】いや〜。

【みか】いいよねえ。

【清盛】一周目に「どれみ」を見てるときは、まあ楽しめてはいたんだけど、ブヒりポイントは少なかった。おんぷちゃんの登場を待ちわびていたよ。

【みか】見るのがダルかったマジョルカ編とかも、おんぷちゃんがそのうち出てくることを心の支えに乗り切ったってところはある。

【清盛】おんぷちゃんの声、ヤバいよね。

【みか】めっちゃハマってるよ。

【ホリ】凄いよね。ホント。

【みか】アイドルが転校生って、まあ漫画ではよくある展開ではあるけど、リアルな教室にはない光景ではある。

【清盛】ここまでの「どれみ」では割と等身大の小3のクラスメイトを描いてきた。まあ「モンゴル」は除いてだけど。だから、めちゃくちゃカリスマ性を感じたよな。いきなりサイン書いたりだとか。

【ホリ】いや「モンゴル」も等身大だろ!

【みか】「#」以降のおんぷはだいぶ性格変わるけど、この頃のおんぷは本当に自己中心的。1期のテーマ「友情」のアンチテーゼだよな。

【清盛】そうね。34話に友情が一つの完成を見たから、満を持して、って感じだ。

【ホリ】結構この頃って、さとう珠緒とかゆうこりんとか、ブリっ子系が流行った時期だったな。このおんぷの自己紹介とかはそのノリを意識してる感じがするな。


【清盛】結構関先生ですらおんぷをどう馴染ませていこうかって悩んでる感じがするよな。

【みか】まあ、教師も介入しにくいよな、こういう子供。わかりやすい問題起こすわけでもないし。

【清盛】そういう小悪魔な面を見せつつ、玉木とオーディションの話をするときは既に芸能活動へのプロ意識を見せている。

【みか】おんぷの世界ってお父さんと芸能界の二つしかないわけで、そりゃその芸能界を侮辱されたらキレちゃうよね。

【清盛】まあおんぷの中ではお母さん=芸能界になっちゃってるもんな。母親を侮辱されるということでもある。

おんぷ「あ、別にあなたたちがうるさいって言ったわけじゃないの」

【みか】こことかもわかりやすくどれみたちに敵意を示してるよね。小悪魔というか、明確に敵だなって感じがするわ。

【清盛】まあどれみたちは遊び感覚で来てるから、それに対して反感を持つプロ意識の描写でもあるとは思う。


【清盛】オヤジーデ、もともと不快だなって思ってたけど、ここで完全に邪悪だと思った。小3に欲情してるのヤバ過ぎるだろ。

【みか】いやいやいや、ジュニアアイドルに欲情するのは当然のことだから! 本当に邪悪なのはそれを作ってる奴らだよ!

【清盛】当然というのを認めたとして邪悪なのは変わりないだろ……。

ステーキを食べるモノマネ

【みか】どれみが脚光を浴びるのいいよね。はづきとあいこの応援で緊張が溶けるのも、一人でやってるおんぷとの対比になってる。

【清盛】いやあ、ここでどれみがステーキを食べる演技するの、本当にいじらしい。人生で一回しか食べたことない大好きなものを食べてる様子を必死に想像してんだよ。我々がどれみがステーキを食べたときの反応を見れるのはここだけなんだけど、どれがエアステーキって。切なすぎる。

【みか】単純にどれみのまっすぐな愛嬌がちゃんと審査員に伝わってるってのが本当に好きだわ。

おんぷ「審査員の皆さん、わたしに投票して!」

【みか】この顔よ。

【清盛】二期以降の呪文の言い方とちょっと違うよね。より小悪魔っぽい感じ。無限に聞いていられるわ。

【ホリ】これは衝撃的だった本当に。どれみたちにも感情移入してしまうよな。「マジ?」ってなるわ。

【清盛】これまでの「どれみ」の魔法って、子供らしい無邪気な願望だったり、純粋な善意で使われていた。こんな利己的な理由で禁断の魔法を使うなんて思いもしなかったわ。

【みか】1期後半のテーマの「心を操る魔法」はここが初出。まさかの禁断の魔法はブレスレットがあれば大丈夫とか言いだした。

【清盛】アリかよ、そんなの。

【ホリ】素晴らしい回でした。

第36話「四級試験はドドドドドー!」

【みか】この回以降、おんぷちゃん主役回じゃなくてもちょいちょい顔出しに来てくれて、そのたびに嬉しくなっちゃうな。


【清盛】ウサギのおんぷちゃんいいなあ。

【ホリ】ほんとにさ、1期のヒールのおんぷちゃん好き過ぎるわ。

【清盛】この回のメインとしては、一応妖精たちと協力して試験を乗り越えるって話やね。

【みか】この回の脚本、大和屋暁なんだけど、競馬が好きだからそれをベースにしたらしいよ。

【清盛】草生えるな、それ。

どれみ「おんぷちゃんが妖精連れてるところって見たことない」

【清盛】まあ、この回はどれみたちが妖精たちと協力していて、おんぷは妖精と別行動しているってのは一応対比的ではある。

【みか】でも妖精の話、この回ですらこのシーンくらいだよね。10話以来、最近まで妖精に触れられることがなかったから、妖精回はこれ以上やる気ないのかなって薄っすら思い始めてたところに、ロロはそもそも出さないっていう。まあ、確かにおんぷの孤独感を演出するために妖精出していないってのはあるかもしれないけど。

第37話「魔女ガエルがいっぱい!」

【みか】これ地味に神回だよな。

【清盛】まさか魔女ガエルがたくさん居て、落伍者たちのコミュニティを形成してるなんて。この光景ショッキング過ぎるだろ。

【みか】どれみみたいにちゃんと頑張って魔女になろうとする子ばっかじゃないし、マジョリカも結局苦労してるわけだしね。

【ホリ】まあどれみはね、女王様の恩寵があるから。

【清盛】魔女ガエルたちがおんぷちゃんのとこに押しかけたりすると。全然面倒見てくれないけど。

【みか】こいつら、マインドが物乞いに近い。まあ、「も〜っと」では村おこししたりとか自分たちで立とうしている面も描写されるんだけど、この時点でのこいつらは他人から施しを受けることを前提にしている。

【清盛】まあ本当に可哀想な奴らだからね。施しするのは当たり前だよ。

【みか】とはいえ、施されたものに対して文句は言わない。どんなものが出されても工夫して楽しむって心意気は持ち合わせている。小さい遊園地を出されても、文句を言うんじゃなくて自分たちが小さくなって楽しむよっていう。

【ホリ】『最強伝説黒沢』で描かれたような、ホームレスのリアルと、そんな生活の中でも楽しみはあるみたいな話。

【清盛】「どれみ」の中でホームレスを出すわけにいかないからね。

【ホリ】魔女ガエルとしてメタフォリカルに描かれてる。凄い回だよ。

【清盛】子供が見たらコミカルで楽しい回なんだろうけど、大人が見たらグロって思う。

【みか】やっぱこういうの書くの前川淳なんだよな。

【ホリ】誘拐・スリ・ホームレス。

【みか】こんな人が『フレッシュプリキュア』のシリーズ構成なんだぜ。ちょうど俺の世代だった。

第38話「りょうたと真夜中のかいじゅう」

【ホリ】おんぷちゃんが出てから初めてのクラスメイト回。

【清盛】いや、神回ですこれは。

【みか】まあ、良い回っすね。

【清盛】やっぱり小3って、男児らしい趣味がそろそろダサいなってなってくる境界線ではあると思うんだよな。男児と少年の境目というか。

【みか】あー確かに。ニチアサとか見てるの恥ずかしいぜみたいなノリはあったね、この頃。

【清盛】そういうものを友だちとの約束より優先して、「オタク」呼ばわりされる。この頃のオタクってマジで蔑称だろうからね。


【みか】自分の好きなものとコンプレックスを同時に壊してて、こういう描写好きなんだよな。

【ホリ】倒錯した気持ちよさがある。


【清盛】マジカルステージによって自分の憧れてたものと邂逅できるわけなんだけど、ここでライダーでも戦隊でもなく「怪獣」ってのが効いてきてると思う。怪獣って正義の味方ではないわけで、ただデカくて強いから憧れてる。そういう存在が、助けに来るわけでもなく、ただただ自分のとこにやってきて、乗せてくれるだけで本当に嬉しいんだと。

【みか】そうよね。本当に心霊的な崇拝に近い。憧れというか、畏れというか。

【清盛】ライダーとか戦隊モノだと、やっぱ自分がそれになりたいってスケベ心が出てきちゃうと思うんだよね。怪獣にはそういう感情を抱かなくて、もっと根源的な感情なんだよな。

【みか】正直俺の中にはそういう衝動はないから、特異なものに見えた。

【みか】小竹とか木村は怖がるんだな。憧れにはなれないんだ、彼らにとっては。

【清盛】いや、でも二人もこのあと怪獣作るの手伝うわけだから、やっぱ本物の怪獣を見て憧れがぶり返したって感じだと思うけどね。ここで怖がってたのは、憧れの対象でもあり、恐怖の対象でもあるっていう怪獣の二面性が表れてるんだと思う。

【みか】なるほど。

【清盛】「小鳥の気持ち」という子供を謳う曲が流れる演出も素晴らしかったね。

【ホリ】これ結構「ナイショ」の12話にも通ずるところがあるよね。夜に魔法を見せて、それを夢として処理させるという。

【みか】確かにな。長谷部くんとか「ナイショ」の宮本くん回でも似た構成が使われるけど、一つの型ではあるかもしれない。

【清盛】この回、俺は1期の中でも五指に入るほど好きなんだけど、脚本家の喜多川夏音って人、調べても全然情報が出てこない。

【みか】ミステリーだよな、それ。


【清盛】「一番好きなもの」ってテーマで、どれみがステーキじゃなくてマジョリカを作るの意外だったわ。

【ホリ】どれみの魔女に対する憧れが表れた箇所だと思うけど、俺はこういうの好きだな。怪獣もそうなんだけど、子供のファンタジー的なものへの憧れだよね。

【みか】こういうのって初期特有な気がしてるな。結局「どれみ」のテーマって現実で起こることだから、年を重ねるごとにどれみたちも当然現実を見ていくわけで。こういう憧れを素直に出せるのも1期とか2期までよね。





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おジャ魔女どれみ全話座談会【無印編⑥】

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第27話「オヤジーデがやってきた!?」

【清盛】オヤジーデがやってきたよ。

【みか】なんだかんだめっちゃ好きなキャラだわ。

【清盛】正直初見では不快だった。

【ホリ】まあ真の姿見せるのは二期に入ってからだし、この姿でこの声だと不快さはあったわ。


【清盛】ピュアレーヌパソコン、子供心に嬉しいアイテムだな。

【みか】これのおもちゃを親が子供に買い与えていたって考えてもいいよね。まあパソコン形式である必要は全くないけど。

【ホリ】Windows95とかの時代ですからね。パソコンが家庭に普及しだして、子どもたちもパソコンの中には小人が入ってるとか考えてたんだろうな。

【清盛】そんなオヤジーデも、大罪を犯してたんだよな。

【みか】バッドカードを盗み出して、世界中にバラまいた。

【清盛】「CCさくら」か?

【みか】この回ではバッドカードがはづきパパに取り付いてるんじゃないかとはづきたちが父親の仕事場でうろつくんだけど、父親は父親で仕事に真摯だから娘たちを疎ましく思う。でも、はづきからのプレゼントはちゃんと受けっ撮って上げるんだよね。そういう親と子供の関わり方が良い。

【清盛】はづきパパの主要回ってこれだけだよな。なんだかんだはづきは父親とは上手く関われている。結局はづきと親の関係の話だと母親が重要だからなあ。

【みか】まあ女の子と父親っていうか、異性の親子の関係ってのはそんなもんなのかね。おんぷにしたってそうだし。

【清盛】常に深く関わることがないからこそ関係性が安定するってことなのかな。

【みか】あとこの回は結局バッドカードのせいじゃなかったんだけど、どれみたちが蛍になったおかげではづきパパの撮影が上手く行った。バッドカード回の二つ目にこれをもってくるのは綺麗だよね。

第28話「恋は高原の風に乗って」

【ホリ】玉木がテニスすんのマジで面白いんよな。

【清盛】階級の象徴だろこれ。

【みか】この回はどれみ恋愛回でもあるんだけど、どれみと玉木の確執も提示されてるよね。この二人って因縁のライバルだけど、直接対決する話って意外と少ない。この回が初めてなんじゃないかな。

【清盛】まあ結局あいこに持ってかれちゃうんだけどね。

第29話「夏祭りにタップが消えた!」

【清盛】スリ登場回。ドタバタコメディとしてめっちゃ面白い回だったな。妖精にルーレット回す労働させてんのグロ過ぎるだろ。

【みか】あとまた小竹がどれみの作ったグッズ持ってくんだよな。今回は完全に無意識に選んでる。

【ホリ】どれみへの愛が染み付き過ぎだろ。

【清盛】この刑事、ユキ先生の隣人っていうことで出てきたけど、女王様がちゃんとアパート借りて人間界住んでるの草生える。

【みか】関先生と独身同盟とか組んじゃってるし。

【清盛】女王様、人間界に彼氏作りに来てるだろ完全に。「#」とか見てると魔女って人間界で恋人作りがちだしな。

【みか】どれみの見習い服着たプードルクッソ笑ったわ。

【清盛】出し方が秀逸なんだよな。振り返ったらコイツが佇んでるの、シュール過ぎるだろ。

【みか】忠犬にされたり馬にされたり、どれみがだいぶ酷い目に合わされてるな。

【清盛】やっぱ「どれ虐」的な楽しさがある。

【みか】最後に小竹がどれみの魔法グッズの効力で表彰されるオチまで含めて、ギャグ回として完成度がめちゃくちゃ高い。それだけの回なんだけど、満足度があるわ。

第30話「ユウレイに会いたい!」

【清盛】久しぶりに完成度の高いクラスメイト回。2クール最後の山場を終え、後半のキーアイテムのバッドカードとかも出して、やっと落ち着いてクラスメイトの話をできたって感じなのかな。

【みか】これの前のクラスメイト回がかなえ回だからなあ……。

【清盛】これも大和屋暁の担当回だっけ?

【みか】そうそう。元の脚本がどんなんだったかは分からんけど。

【清盛】作中作作りがちだよな。

【みか】今回の作中作は、雰囲気作りとして良い仕事してるよね。ドラマ要素もあるし。

【清盛】「も〜っと」まで山内くん回は恒例になるわけだけど、誰が参加してるかに注目すると面白いよね。

【ホリ】玉木呼ばれてないの悲しいなあ。

【清盛】まあ「#」でも呼ばれてないのに勝手に来ただけだけどな。

【みか】この回、小学生の肝試しって舞台がまず良いし、子供だけで夜に探索するワクワク感もある。

【清盛】小学三年生って、そろそろ「死ぬ」ってことを理解しだして、祖父母とかと離別する子も出てきだす年齢だよね。そういう子の中には山内くんみたいに祖父母との間に何かしらの後悔を抱えている奴も居るんだろうけど、そこの救いとして通常子供にとって恐怖の対象である幽霊を持ってきてるのが綺麗だわ。

【ホリ】「どれみ」って物に魂が宿る話多いよな。

【みか】すごい日本的よね。魔法ってそもそも西洋のイメージがあるけど、13話でも想いのこもったものが魔女界ですごい価値があるみたいな話があったし、付喪神的な価値観を感じる。教育的な意味もあるんだろうけど。

【ホリ】次の回でも、モンゴルから日本に帰る友達に送るプレゼントがボロボロになるまで大事にされてるみたいな話出てくるしな。

【清盛】そんなにしたいなら「モンゴル」の話するか。

第31話「モンゴルからのおくりもの」

【清盛】初見時はマジョルカ編で見るのしんどくなったんだけど、めちゃくちゃいい話である30話を見たあとで、やっぱ「どれみ」はクラスメイト回だなって思ったわけなんですよ。

【みか】その次に来たクラスメイト回がこれかよ。

【ホリ】いやいやいや、めちゃくちゃいい話だよこれは。「モンゴル」はタミラくんから気持ちのこもった贈り物を貰ったんですよ。だから、玉木の持ってる金がかかってるだけの物とは違うんですよ。

【清盛】まあ、子供がする贈り物ってあんまりお金かけられなくて、その上でいかに良いプレゼントを選ぶかっていうのは子供らしいテーマではあるんだけど……。

【みか】贈る相手が特殊過ぎるんだよな。

【清盛】あとこの志乃ちゃん、モンゴルに行ったってことで注目を集めているのは小3らしくて良いなとは思うんだけど、それ以外のキャラ付けが無さ過ぎるだろ。

【ホリ】いや玉木もさ、基本的には同じじゃん。親が金持ってるってだけで中身がない。

【みか】玉木は今後中身が描写されていくやんけ! でも「モンゴル」はこの後一切触れられることがない。

【清盛】ラストシーンでは「みんなでモンゴル行けるといいね」って言ってるけど、空虚過ぎるだろこの言葉。「どれみ」って作品は、クラスメイトの細かいところを長期間かけて拾ったりするんだけど、「16シリーズ」ですらこの約束は守られなかった。

【ホリ】いや、そんな約束してないから。

【清盛】してるしてる! 見てみろよこれを。

志乃「みんなでモンゴル行けるといいね!」どれみ「うん!」

【ホリ】してるなあ……。

【清盛】この約束、どれみたちですら忘れてるからな。

【ホリ】まあこういうその場限りのコミュニケーション、子供でも大人でもするやん。

【清盛】「#」21話で「約束したから」ってマジョドンに言ったどれみたちは何だったんだよ。どれみたちが「モンゴル」にだけ不誠実なコミュニケーションを取ってるんだとしたら悲しすぎるわ。

【みか】モンゴルなのが良くないんだよな。アメリカとかヨーロッパだったら「16」で話に絡めることもできたかもしれないんだけど。

【清盛】あと「モンゴル」のキャラデザ、小学生に見えないんだよな。髪型とか昔ながらのヒッピーって感じがする。

【みか】そうなんだよな。内面の掘り下げがないから胡散臭く見える。

【ホリ】小学生の女の子の容姿に対して酷すぎるだろお前ら。

【清盛】まあでもこういう見た目してるからこそ、他の回の背景とかですぐ目につく。「あ! 『モンゴル』だ!」って。こういう不遇なキャラでも背景の中にたびたび登場するから、それを見つける楽しさはあるよね。「どれみ」って作品。

【みか】いや執拗に「モンゴル」探してるのはお前らだけだよ。

【清盛】この回で「小鳥の気持ち」という名曲が使われてるのも意味わからんくて草生えるんだよな。

【ホリ】まあでも、魔女試験で得た教訓をちゃんとクラスメイトとの話で活かしてるわけで、試験回として出来が良いと思うけどな。

第32話「打倒玉木!学級委員選挙」

【みか】クラスメイト回が続きますね。

【清盛】玉木の使われ方がやっぱいいな。「レイカ様」のノリめっちゃ好きだわ。SOSが玉木の傘下に入っちゃったり。

【みか】この回の主役は宮本くんだけど、この子も色んな小学生像がミックスされてる感じがする。いつも二番手っていう属性と、自分に自身が持てないけど気配りができるっていう属性。だけど、周りが何とか一番にしてあげたいと奔走する。

【清盛】一番にしてあげたいというか、代理戦争だろこれ。

【ホリ】MAHO堂のメンバーたちの人助けに対する自然さがこの回らへんから出てる気がする。まあ宮本くん本人が平和主義者だから代理戦争っぽくなってしまっているが。

【みか】宮本くん、「選挙なんてやめましょうよ」って言ったりとか、クソ真面目な公約掲げたりとか、上に立つ者としてのセンスがない。

【清盛】まあ地に足がついてない感じはするよな。

【ホリ】玉木が流石に支持を得られなさすぎた。

【清盛】宮本くんが積極的な支持を得たわけではないよなこれ。

【みか】玉木もさ、めっちゃ頑張ってるんだよ。政治家としてやるべきことやってんだよ。

【ホリ】まあでも結局、学級委員に立候補するような奴はロクでもないっていうことなのかもしれん。

【清盛】宮本くんも、クラスをよくしたいって思いより、自信を持ちたいっていう利己的な欲求から始まってるしな。

【みか】二番手に不満持ってるみたいだけど、二番って凄いからな。

【清盛】どれみを見てみろと言いたいですよ。

【みか】どれみも言ってたからな。「わたしなんてどうなるの」って。

第33話「運動会はパニックがいっぱい!」

【清盛】クラスメイト回4連続。

【みか】「モンゴル」並みの回だよこれ。まだあの回は花田志乃という単体のキャラクターが得られたけど、いとこちゃんに関してはもう何も分からない。

【清盛】まあでも、運動会を学年またがって準備するときに小6のお兄さんがめっちゃ年上に見える描写とかは、低学年らしくて良かったけどな。「どれみ」ってあんま先輩後輩描写ないし。

【ホリ】この浜田家の家庭も家父長制がヤバ過ぎるんだよな。

【みか】怖いンゴねえ、ほんとにコレ。

【清盛】「16シリーズ」ではいとこちゃんが結構出てくるんだけど、さらに兄弟が三人増えてるんだよね。いとこちゃんがその子たちの世話をさせられて、受験勉強する時間がないみたいな話が出てくる。

【みか】まあのちのち家庭の歪みが描かれてはいるのか。「モンゴル」は歪みすら描かれなかったけど。

【ホリ】この回、山吉の演出が変で面白い。

【みか】バッドカードがライン引きに入ってるから、伏線を張るんだよな。

【清盛】不気味過ぎるだろ。

【ホリ】子供でも分かるように伏線を強調してるんだよ。

【みか】ここで使っていいのかって感じはするけど、「おジャ魔女カーニバル」が流れるのはやっぱテンションは上がったな。





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おジャ魔女どれみ全話座談会【無印編⑤】

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第18話「使っちゃダメ!禁じられた魔法」

【みか】初見時、6話から17話くらいまではめちゃくちゃ感動しながら見てたんだけど、この回くらいから徐々に失速していく気がしていた。

【清盛】禁断の魔法が使われるわけだし、生命を扱ってるから軽い回ではないはずなんだけど。

【みか】物語が雑だなっていう風に思っちゃうわ。

【ホリ】そもそもどんな回だっけ。

【みか】ななこちゃんの過去に飼ってた犬が死んだというトラウマを、はづきがうさぎをあてがうことで治療しようとするっていう筋書きなんだけど、そのうさぎがまた事故にあっちゃうというか、野良猫に襲われる。

【清盛】まあ、韓国ドラマ的な雑さはある。

【ホリ】禁断の魔法、このあともちょいちょい使われるけど、使っちゃいけない魔法がゆえにキャラクターの心の綺麗さを示す上での試金石になってるよな。その使い方自体は好きだわ。

第19話「はづきちゃん誘拐される!」

【清盛】こんな回あったっけ?

【みか】お前、パパイヤ兄弟を知らないのかよ!?

【清盛】誰だよ。

【ホリ】テーマが誘拐って重すぎでしょ。その割に描き方が軽すぎる。

【みか】開始5分でシームレスに誘拐されて、芸人志望の誘拐犯たちに六畳一間のタコ部屋に監禁される。

【清盛】貧困描写がリアル過ぎるだろ。

【ホリ】この時代ってまだ宮崎勤の連続女児誘拐事件があってまだ10年くらいしか経ってない、オタクバッシングの時代だからさ。アニメの中で誘拐がライトに描かれてるのヤバいっすよ。

【清盛】いや、悪い人にも本当は色々事情があるんだなっていうメッセージがね。

【ホリ】その教訓は絶対得てはいけないから。

【みか】この回の脚本家の前川淳って人、29話の夏祭り回ではスリとか出すし、37話の魔女ガエル村の話とかも、あれって底辺の老人たちの話じゃん。そういうの好きなんだろうな。

【ホリ】はづきとパパイヤ兄弟の関係とかも、ストックホルム症候群を思わせる。ヤバ過ぎるよ。

第20話「ライバル登場!MAHO堂大ピ〜ンチ!!」

【みか】始まりました。マジョルカ編。

【ホリ】マジョルカ編って5話もあるのか。

【清盛】かよこちゃん編より長いやん。

【みか】正直初見時はきつかった。まあ、基本的には魔女界の話ってつまんない。バッドカード回が顕著なんだけど、魔法の力が現実世界に関与していて、それを取り除くだけの話は、大本の人間ドラマが描けにくいからね。

【ホリ】山内重保も魔法要素は装飾に過ぎないって言ってたからな。

【清盛】大っぴらにそんなん言っちゃっていいんだな。

【みか】まあ、4クールアニメのちょうど折返しだからボス的なものを用意したんだろうね。当時の子供達も楽しんでたろうし。

【清盛】こういう困難を乗り越えることで三人の友情が強まっていくっていう機能は重要。

【みか】マジョルカという存在、マジで23話のフリでしかない。


【清盛】ヘヘ、二期以降はほぼ出てこないけど、エロ過ぎるだろ。このからかうような声がいいよね。言葉遣いとか肌が黒いとことか、『ケロロ軍曹』のアンゴルモアっぽい。

【ホリ】まあこの時代のコギャルのイメージだよね。

【みか】露出も多いし、子供向けアニメで許されるのかこんなん。


【みか】ここでマジョリカがMAHO堂奪われたのに不貞腐れるの腹立つんだよな。どれみたちは自分たちの居場所が奪われて、小さなところから一歩一歩対処しようとしてるのに。

【清盛】まあ、この辺までははづきがマジョリカに敬語使ってるのもあるし、マジョルカ編を通してどれみたちとマジョリカの間に信頼関係が形成されるってのはあるよね。

第21話「マジョルカグッズは危険がいっぱい」

【清盛】マジョルカグッズ、めっちゃ効果あると思ってたら実は反動があったと。

【みか】魔女界が取り締まれよって思うけどな。


【清盛】あとこの辺でクラスメイトが狂っていったの面白かったわ。

【みか】まりなちゃんが玉木にうっとりしてるの何事って思うよな。


【清盛】ドドとかマジョリカがどれみの家に居候して勝手に色々食べるんだけど、もうこいつらゴキブリやんけ。

【みか】だいぶマジョリカにヘイト溜まったわ。

【清盛】マジョルカグッズの使い方って、どれみたちの魔法の使い方とは対極的だよね。

【みか】自分の願いを叶えるためか、他人の願いを叶えるためかっていう対比がある。

【清盛】それもあるし、マジョルカは買った人の願いを直接叶えてるけど、どれみたちは表層の願いを直接叶えるわけじゃなくて、手助けをするだけっていうね。

第22話「6級魔女への道は遠い!?」

【みか】マジョルカがちゃんと強大な敵として描かれる。どれみたちが今まで成長したことを活かして色んな魔法を使うんだけど、マジョルカは全部対処してくる。

【清盛】で、結局ネズミとコウモリから崩すしかないっていうね。

【みか】この回でしょぼくれるマジョリカを見て、ここまで苛ついてたけど許せたわ。

【清盛】大人たちがマジョルカグッズで狂っていくシーンは、「千と千尋」で両親が豚になっていくみたいな親が欲望に負けていく様子で、子供心に相当怖いだろうな。

第23話「大逆転!?おジャ魔女の試練」

【清盛】23話の重要性、初見では気づけなかったわ。

【みか】そうね。この回ってあいこ的にも、友情ってテーマ的にも重要なんだよな。

【清盛】ここまで片親って情報は出てたけど、母親がどうなってるのかはわからなかった。

【みか】ここで実際にあいこの抱えている問題がわかるわけなんだけど、それが鬼畜過ぎる。マジで親の都合だけで背負わされすぎなんだよな。そんな中二人のくれたハーモニカだけが唯一の宝物っていういじらしさ。

【みか】それすらも父親が捨てようとするもんな。そりゃキレるわ。

【ホリ】感動エピソードというよりかは、あまりにも胸が痛くなる話だよ。

【清盛】あとこの回で重要な点としては、三人が困難を乗り越えて結束するってところか。この薪の量とんでもなさ過ぎるだろ。

【清盛】みんな血豆を潰しながら薪割りして、ここで初めて「大親友」という言葉が出る。

【みか】マジョルカグッズによってみんなの家族が大変なことになって追い詰められ、薪割りという苦行を共に乗り越えたわけだもんな。そりゃ大親友って言いたくもなるわって感じだわ。

【清盛】やっぱ1期前半の集大成感があるよな。


【清盛】この自分にとって大事なものとポロンを合体させるってエピソードも今思うと上手い。

【ホリ】想いの強さに比例して魔法玉の数が変わるっていうね。あいこは量が多いけどどれみは少ない。

【みか】まあどれみってこの時点ではピアノが好きじゃなかったんだよね。才能がないし、母親にも辛く当たられたし。

【清盛】「#」を踏まえて見ると、怖いシーンだなこれ。

第24話「マジョルカ対6級おジャ魔女!」

【清盛】マジョルカ倒す話やね。正直そんな言うこともないって感じがする。

【みか】強大なマジョルカにどう立ち向かうんだろうってワクワク感はあったけど……。

【清盛】バトルってあんまり「どれみ」の良さではないからな。。

【みか】まあまずまずの締め方って感じだ。

第25話「おジャ魔女ぽっぷ登場!?」

【清盛】ぽっぷが魔女見習いになる回。

【ホリ】姉妹回3つ目だね。

【清盛】ぽっぷがどれみより魔法上手いってところから始まるんだけど、最後にはちゃんとぽっぷがしでかした事件をどれみが解決する。

【みか】まあどれみが姉としてぽっぷに認められる積み重ねの一つだよね。

第26話「わたしたち、ピュアレーヌ!」

【清盛】バッドカード回ね。

【みか】20話の時に言ったけど、バッドカード回みたいな、こういう外的な要因を取り除いて終わるって話あんまり好きじゃないわ。解決方法に型を用意しないと話作るの大変だってことで創り出されたのかもしれないけど。あとはまあ、おもちゃ販促か。

【清盛】まあバッドカード回にもいい話はあるんだけど、この回はかなえちゃんちのまねき猫取り除いて終わりだからなあ。

【みか】全部バッドカードのせいって言われたらまあ、深みはないよね。




続き
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