おジャ魔女どれみ全話座談会【無印編④】
前回
ojamajozadan.hatenablog.com
第11話「早起き少女まりなと心の花たば」
【ホリ】「早起き少女まりな」ってタイトル、面白いな。
【清盛】草生えちゃうよな。いや、神回なんですけどね。
【みか】まあ「早起き少女」ってのはフリですからね。
【清盛】前回の次回予告からすごかったわ。
【みか】作文形式になってるんだよな。次回予告のセンスがめちゃくちゃ良い。
【ホリ】小学校の時って、教室にいつも一番早く来る子ってやっぱ特徴的な存在に映る。それにフィーチャーするのは結構賢いよね。
【みか】この回、本当に構成がめちゃくちゃ綺麗なんだよな。
【清盛】特にここからが本当に完璧だと思う。「小鳥の気持ち」が流れ始めて。
【みか】本当にこのセリフ詩みたいでめっちゃ好きなんだよね。
【清盛】この詩的とも言えるセリフ、はづきの「この花、木村くんに守ってくれたおかげで咲いたのかも」って問いかけに対しては噛み合ってないというか、浮いてるんだよね。でもこれはまりなちゃんの気持ちの高ぶりを表していて、それが収まって現実に戻った時に「まだ言ってなかったね おはよう」という日常的なセリフが飛び出してくる。
【みか】この一連の流れ上手すぎるよな。
【清盛】そこからカメラが真下にいるどれみとあいこを映す。
【みか】いやあ、この二人は上で行われたやりとりをわかっていないんだよな。
【清盛】でも詩的な言葉の表面だけなぞって対比してる感じが良いよね。
【みか】このまりなちゃんが自分だけのものをちゃんと手に入れるって終わり方がいいんだよな。子供の発達のあり方として、まず行動ありきで、後から理由が付随していくみたいな。そういう感じで人格って出来上がっていくもんだと思う。
【清盛】行動が母親の言ったことを反復するところから始まることからも分かるように、これは親子の話でもあると思う。だからこそはづきが出てくるんだろうけど。親の言うことに従っているだけに見えたはづきも、やはりちゃんと自分のものにしていた。
【みか】やっぱ「どれみ」は親ってものの存在の大きさに気を配って書いてる。そこも誠実だなって思うわ。
第12話「大切なシャツの願い事」
【ホリ】幼稚園児の世界からすると、やっぱり兄ってのは自分にとって身近なヒーローなんだよね。薄々補欠っていうのはわかってるから、友達には隠してる。
【みか】これ、結構現実で考えると救い様のない話なんだよね。「弟は兄を英雄視するのをやめていって、兄も重荷がなくなるんだけど、軽い挫折感が残る」みたいなのがありがちだと思う。大地くんはいざ試合に出たらドリブルは上手いし、ダイレクトシュートも決めるけど、もうこれは夢だよね。
【清盛】まあ夢ではある。でもこういう部活で一段低く見られるみたいな描写はリアル。裏で努力しているところを見ても、五十嵐くん以外は大地が練習してるとは思わない。もう完全に下に見てるから、まさか裏で努力してるなんて思いたくないからね。
【ホリ】もうそういうプレッシャーのせいで普段も人前では下手になってしまう。特に小学生ってそういうメンタルがプレイに反映されちゃいやすい時期だからさ。こういう心理も描かれてるよね。
【清盛】小学校でスポーツとかやってる奴って華やかに思われがちだけど、あんまり日の目を見ることができない奴もいる。それにスポットライトが当たっていて、そういう子供にとっては嬉しい回なんじゃないかな。
【みか】あとこの回で好きなのは、想いのこもった物は魔法玉に換算できるって設定。
【ホリ】現実世界では価値がなくても、魔法の世界でちゃんと価値が認められるっていうね。
【みか】どれみたちが「そのシャツは売れないよ」っていうのも凄い優しくていいんだよな。
第13話「みんな不合格!?8級試験」
【みか】この回どんなんだっけ。
【清盛】アシジュポンの回やね。イカとタコで「ロミオとジュリエット」ですよ。
【ホリ】冷静に考えなくてもおかしいんだよな。なんで魔女界でタコが自分の足入ったたこ焼き売ってんだよ。
【みか】まあ試験回は正直我々には楽しめないものが多いよね。完全に子供の方を向いて作られているし。ちゃんと三人で力を合わせて頑張るっていうテーマ的には大事なんだけど、単体で見るとちょっと面白いコメディくらいに落ち着いてしまう。
【清盛】……もう次行っていいか?
【みか】はい。
第14話「笑って許して!?」
【ホリ】やっぱ小学生モノで見たいものの一つって二次性徴だから、この回は好きだわ。
【みか】奥山さんは背の高いところにコンプレックス持ってるわけだけど、こういうのってかなり子供ならではだよな。
【清盛】まあ「16シリーズ」でもその背の高さを活かしてモデルやったりするわけだしな。小学生特有の心理ではあるかも。
【みか】この回、何気に佐川もいい味出してる。マジでバカなんだけど、こういうバカさってリアルだと思うんだよな。
【清盛】小竹みたいに好きだからからかうってのもあるけど、SOSトリオは何も考えてなくて、ただ楽しくてからかってるっていうね。
【ホリ】確かにみんななんだかんだ大人びてるから、こういうバカさは本当に小3らしいな。
【清盛】こうやってふざけてたら、何かやらかしちゃったときのドキッとする罪悪感はリアルだな。
【みか】で、一応謝罪をするんだけど、謝り方が凄い。「なんで奥山がこんなに怒ってるかはわからない」って言いながら謝るんだよな。
【みか】奥山さんがなんでこういう出題をしたのかって意味も全然わかってないんだよなコイツ。こういうとこにも精神年齢の差が表れている。
【清盛】体も心も女子より幼いんだよな、この頃の男子。
【みか】ただ、佐川はこのエピソードの成長が今後の回に反映されない。もうちょっと描写があってもよかったんじゃないのって思う。
【清盛】まあSOSがバカやらなくなったら寂しいよ。
第15話「マジョリカ幼稚園に行く」
【清盛】ぽっぷが子供らしくて可愛らしいってのもあるけど、マジョリカが酷い目にあって胸がスッとしたわ。
【みか】この辺見てる時は、正直マジョリカ嫌いだったんだよね。声がデカい教師的な存在に怒鳴られると萎縮してしまう。
【清盛】こういう偉い存在が、ぽっぷみたいな無邪気な子供に良いようにされるってのはやっぱコメディとして面白いよね。
【みか】あと冒頭でぽっぷが自分にだけ門限があることを不満に思う描写があった。この頃のぽっぷにとってどれみは尊敬に値する姉じゃなかったんだなっていうね。
【清盛】見下してる姉より私の方が偉いのに、なんで子供扱いされなきゃいけないんだよっていう気持ちがあるんだろうね。これも姉妹がこれから変化していく積み重ねの一環ですよ。
第16話「恋を釣り上げよう」
【みか】この回でよかったのは男の子と父親の関係だよね。
【みか】中父親は自分の思うように育ってくれない息子に対して苛立ちをぶつけたりするんだけど、息子が釣りに傾倒する原体験として幼い頃のお父さんとの釣りの経験があって。こういう子供の無邪気さに触れて父親が考えを改める流れは美しいよね。
【清盛】あと一応、どれみ恋愛回でもある。どれみの失恋する回って全体を通して何個かあるけど、あんまり重い話じゃない。
【みか】恋に恋するどれみって、正直あんまりギャグとして受け入れられないんだけど……。
【清盛】まあ小3だからね。恋愛ってものが分かってはないんだけど、ファッション的に楽しんでる。
【ホリ】それに対してはづきとあいこが「またどれみちゃんやってるよ」って反応なのが良いよね。
【みか】はづきは恋愛してるけど、あいこはどの立場からものを言えるんだよ。
【清盛】父親のケアに忙しいからね。
【ホリ】恋愛をやってる余裕なんてないよ。
【清盛】お父ちゃんが恋人や。
【みか】グロいって、ホンマに。
【ホリ】まあはづきちゃんの恋人の回の話しますか。
第17話「矢田くんは不良小学生!?」
【みか】関先生が光る回だね。
【清盛】まあ第10話の座談会で話されたことが全て感はあるな。関先生については。
【みか】矢田くん、人気キャラなのは頷ける。
【ホリ】まあこの頃のイケメン像ってこういう感じだよね。
【みか】クールでぶっきらぼう。矢田くんだけちょっとテイストが違うよね。女の子の視聴者から支持を集めるのもわかる。
【清盛】でも我々から見ても可愛いよね。そういう表面的なキャラクター性がありつつ、怖がりだったり親のことはちゃんと好きだったり、ギャップがいい。
【みか】こういうクールぶったところを、「勝手に壁作ってるだけのガキ」って関先生に指摘されるやり取りを見ると、矢田くんが本当に愛おしくなってしまう。
【ホリ】親子関係の問題がどう子供に出るかっていうパターンは「どれみ」では様々に描かれている。あいこみたいにケアラーになったり、はづきみたいに優等生化したりね。矢田くんはストレートに不良になるんだけど、深堀っていくともうちょっと色んなこと考えているっていう。その落とし方がどのキャラも上手いなと思うわ。
【みか】かなり色んな家族が出てくるからな、「どれみ」は。
【清盛】矢田くんの家も、再婚したばかりで継母と二人で住ませるって冷静に考えたらヤバいんだよな。