おジャ魔女どれみ全話座談会【無印編③】

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第6話「ウソつきは友情の始まり」

【清盛】5話までは世界観を提示するパートよね。小竹というクラスメイトは一応扱われてたけど、キャラの根本的な部分に触れるのはこの話が初めて。

【ホリ】子供のリアルな問題にどう向き合っていくかってところに、制作陣が出した最初のテーマは「虚言癖」。

【みか】こういう問題に対して、普通は「嘘はよくないよね」って結論に落とし込まれがち。でも、「信ちゃんの嘘は面白いよね」って周りが受けいれて、創作方面の才能に伸ばしてあげてるっていう、優しい導き方が本当に好きです。

【清盛】この回の良さ、本当にそれに尽きるよね。

【ホリ】信子ちゃんって小学生のキャラクター性が複数ミックスされてるって思うわ。

【清盛】確かに。自由帳に物語を書いて人気になってた奴って居たけど、それと虚言癖の奴って別の人間だったな。

【ホリ】あと、信子は創作の上で自分を男性キャラクターに見立てて書くんだけど、ここからあいこへの同性愛的な感情が読み取れるよね。
これはこれで女子小学生によくあるのかなと思う。

【みか】一人に執着するのは女子小学生にありがちな感じはするな。

【清盛】俺は信子が自分をそのままの形で創作物に出すことへの照れなのかなって読んだけど。

【ホリ】それもあるだろうね。

【清盛】そういえばちろきしん*1が良いこと言ってたな。信子が片親であるっていう嘘をついたのは、自分と相手が同じ要素を持つことでしか友達になれないと思っていたから。でも、そうじゃなくても親友になれるんだっていう話なんだよって。

【ホリ】良いこと言うなあ。

【みか】あと、リアルな教室風景が描かれた初めての回かなって思う。

【清盛】玉木の性格もここで分かる。なんか高飛車な奴いるなあって。

【みか】これまで背景のモブっぽかったけど、クラスメイトが各人キャラが立ってくるよね。

【清盛】忠犬どれみも初登場。いやあ、良いよね。

【みか】今見るとホンマに愛おしいわ。

【ホリ】はづきのこれってお茶の水博士のパロディーだよね。

【みか】大和屋暁、こういう作中作とかパロディーとか大好きだよな。

【清盛】名前出たしちょっと脚本家の話するか。インタビューに書いてあったけど、大和屋が上げてくる脚本があまりにも言葉遊びに終始していて、関弘美佐藤順一がちゃんとドラマ作れって差し戻したりしてたらしい。話の内容にまで直接口を出したかはわからんけど、「どれみ」ってこういう集団制作的な作られ方がいいところの一つだと思うから、色んな人が口を出しやすい大和屋の担当回って結構「どれみ」を象徴していると思う。

【ホリ】脚本家の個性が出つつ、手が加えられることによって「どれみ」的なバランスが保たれてるよな。

第7話「めざせ9級!魔女試験」

【みか】春風姉妹回の第一回目。

【清盛】ここまでの描写だと、ぽっぷって子供離れしたちょっと特殊な幼稚園児に見えていた。この回の冒頭でも、どれみが遊んでる一方で、ぽっぷは家事の手伝いをしている。でも、はるかが「何でもお母さんのマネをしたがる時期」って言ってて、ぽっぷが持つ子供の面が見えてくるんだよな。

【みか】こういうぽっぷの生意気さも、子供らしさの一環なんだっていうね。ホンマにブヒれたな。

【清盛】ええ……流石にぽっぷはそういう目で見れないわ。

【みか】で、ぽっぷが初めてのおつかいをする。


【清盛】ぽっぷのおつかい監視を頼まれた時にどれみがちょっと渋ってるけど、今思うとこういうのも珍しい。この後どんどん姉として成長していくからね。

【みか】イヤイヤ言いつつも、妹のことを考えれば若干そっちに天秤が傾くくらいの空気感。

【清盛】まあリアルな姉妹感があるよね。あとこの渋りがあるからこそ、最後に魔女試験を受けるかぽっぷを助けるかの二者択一で、後者を選んだことの重みが出てくる。

【ホリ】結局魔法玉がなくなることを選択してぽっぷを救うわけだけど、これで本当に試験を受けられないってことになったらちょっと説教臭い。でも、結局ちゃんとどれみは試験を受けることができた。

【清盛】まあこれも兄弟姉妹がいる子供たちに見せるものだもんね。妹のことを考えた結果自分が凄く損するってなると変なメッセージが伝わっちゃう。

【ホリ】どれみが妹のことを想いつつ、でも聖人になり過ぎない絶妙なラインに留めてるのが上手いなと思う。

【みか】あとお使いが終わった後、両親ともぽっぷを褒めるんだけど、お母さんだけはどれみの頑張りをわかってるってのもいい話だし、救いがある。

【ホリ】まあちょっと先取り的だけど、はるかから見たどれみとぽっぷの感じと、マジョリカから見た二人の感じは上手く対比になってるよね。マジョリカはぽっぷを信頼していて、どれみは馬鹿だっていう風に思ってる。

【みか】あーなるほどね。確かに。

【清盛】最後は三人が試験を受けるわけだけど、どれみだけ失敗。

【ホリ】いや〜このオチも結局どれみの劣等性で、めちゃくちゃいいよね。ぽっぷとの話で株を上げたかと思ったらこれだよ。

【みか】せっかくステーキ出したのに食えないしね。

【清盛】そして、レレとミミが出てくる。

【みか】妖精たちが初登場。

【清盛】いや〜重要なんやろな、さぞかし。

【みか】相棒だもんな。ほら見ろよ、存在感やばいだろ。

第8話「魔女の世界へGO!!」

【清盛】この回、はづきとあいこがどれみのことを心配で助けに来るわけだけど、その後一緒に遊んだりして堕落していく。こういうのも初期特有だな。

【ホリ】まあ今後はづきとあいこはストッパーになっていくからね。

【みか】子供が見て楽しい回だよね。あれこれ目的のために動き回るけど、結局それはスタート地点のすぐ裏にあった。でもそうやって駆けずり回った経験も含めて三人の思い出になっていくんだなって感じよね。

【ホリ】このどれみがなぞなぞに強いって設定、ここ以外で出てきたか?

【みか】まあなぞなぞ強いっていうか、頭が柔らかいっていうくだりはたまに出てるかな。

【清盛】「流石どれみちゃん頭柔らかいわ!」ってセリフとしては出てこないけど、ちょこちょこキャラクター性を掴んだエピソードを小出しにしてるよな。


【ホリ】お。

【清盛】ドドじゃん。

【みか】お前ら何笑ってるんだよ。やっと手に入れた相棒だぞ!

第9話「どこ行ったの!?妖精ドド」


【みか】このパーティー良いな。

【清盛】良いよね。どれみを祝うためにみんなで用意してくれたっていうね。ステーキも出てくるし、一個しか無いのに二人が譲ってくれた。

【ホリ】そんなステーキをバクって食うドド。

【みか】ドドはどれみに似て、何もできないし、精神は幼くて意地汚い。

【清盛】それに対してどれみが怒ったら、マジョリカとララが「妖精は最初は赤ん坊みたいなもので、魔女が育てるもの」って言って諭す。こういうくだりがあると、子供が弱い存在を育てていくことで一緒に成熟していくっていう流れを期待してしまうよなあ?

【ホリ】お、「#」の話か?

【みか】キレやすい若者が最近多いって話をスタッフが言ってたのを見たんだけど、まあこういう腹立つ存在にも根気強く接していこうってテーマだと思う。よくできてるとは思うよ。

【清盛】あと今回マジカルステージが初出か。正直初見では単体の呪文の方が好きだったな。

【みか】まあテンポは悪くなるしね。でもマジカルステージという機構は「どれみ」という作品のテーマには大事。仲間と力を合わせて魔法を使うっていうね。

第10話「ピンチ!先生にバレちゃった!!」

【清盛】ここまで教師が求められる役割はユキ先生が担ってたけど、関先生が前面に出てくるようになる回だよな。

【みか】関先生の教師としてのスタンスって、まず子供を信頼する。そして、先生と生徒という立場は保ったまま、生徒と対等な立場のように振る舞って目線を合わせる。小学校教師として上手いなって思うわ。

【ホリ】まああと、全体的に教室の様子が描かれた回でもあるよね。

【清盛】玉木が本当にイキイキしてた。島倉も巻き込んで先生に言いつけたりとかね。

【みか】女版のジャイアンスネ夫みたいな感じ。

【ホリ】島倉って無印の最後でもどれみたちが魔女って触れ回ろうとするし、結構狂言回し的な役割があるよね。



続き
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*1:参加者共通の友人。妹尾あいこに恋愛感情を持っている